2017年10月23-27日:IGCP608第5回国際研究集会(韓国・済州国際コンベンションセンター)が成功裏に終了

国際シンポジウム
 2017年10月23日(月)-27日(金)に,安藤教授がリーダーを務めるIGCP(地質科学国際研究計画)608(2013-2017年)の,第5回国際研究集会「白亜紀のアジア−西太平洋地域の生態系システムと環境変動」が,韓国・済州島の西帰浦市(ソギィポ)市の済州国際コンベンションセンター(ICC Jeju:http://www.iccjeju.co.kr/JA/Main)で行われました.これには,10ヶ国約50名以上の参加者があり,和やかな雰囲気のもと成功裏に終了しました.口頭24件,ポスター11件の発表が行われました.日本からは11名の参加がありました.集会の様子についてはIGCP608のウェブサイトのNews欄にも概要が掲載されています.

  http://igcp608.sci.ibaraki.ac.jp/index.php

5年間(2013-2017年)のプロジェクトとして最後となる第5回国際シンポジウムは,主宰者の韓国側の提案で,大韓地質学会創立70周年記念秋季合同地質学会(10/25-26)の一貫として開催されました. 国際シンポジウムは8月26日(木)の1日で,開会と閉会セッションでは1会場で,その間は隣接する2会場で平行して口頭発表セッションが行われました.

安藤教授はシンポジウム冒頭でプロジェクトリーダーとして開会の挨拶をした後,開会セッションの基調講演として以下の発表をしました.

  Sequence stratigraphy and sedimentary history of the Upper Cretaceous Kuji Group: forearc basin successions of fluvial to shallow-marine facies in north Honshu

一方,ポスターセッションは,14〜16時の2時間が充てられ,ICC3階の広大なホールのポスター会場で行われました.安藤研究室の博士前期課程2年の増川玄哉氏がポスター発表をしました.

  P006 Genya Masukawa and Hisao Ando, Late Campanian-Early Maastrichtian megafossils from the Nakaminato Group (central Honshu, Japan): an example of NW Pacific heteromorph dominated ammonite fauna.

発表要旨集+巡検案内書(合冊)は12月上旬にIGCP608のWebsiteにアップロードの予定です.

 

ビジネス・ミーティング
 夕方は,ビジネス・ミーティングとして,各国代表者会議が3階のレストランDeliziaにおいて短時間で行われ,本年度の活動の総括や年次報告書の提出について確認され,来年度の1年延長(OET: On Extended Term)をIGCP事務局に申請することが決定されました.これにより,2018年11月中旬にタイのカラシンで第6回国際シンポジウムを行い,地質巡検はタイ北東部のコラート高原を3日間で周回する計画が提案されました.

 

大韓地質学会70周年記念祝賀会
 18時30分からは,大韓地質学会70周年記念祝賀会が4階の大ホールで行われ,IGCP608のメンバーは会場前方の円卓に席が用意されていました.開会の挨拶では,IGCP608の主力メンバーでもある,第38代会長の葉民(Min Huh)会長が挨拶をし,IGCP608の紹介もありました.この大会には国際学術協定を交わしている日本地質学会(井龍康文前会長,辻森 樹理事),日本地球化学会(圦本尚義会長,平田岳史副会長,鈴木勝彦幹事)からも来賓が招待されていました。

プレ・シンポジウム地質巡検
 10月23日(月)~25日(水)の3日間で行われ,10月22日(日)の夕方に仁川市内のホテルでの集合となりました.韓半島南岸白亜紀の非海成相(白亜紀前期の恐竜足跡・卵殻化石層と湖成・河川・火山砕屑堆積相)を見学するコースとして以下の5ヶ所を巡りました.

8月23日(月) 仁川出発.

韓半島南西海岸白亜紀Gyukpo堆積盆(St.1-3とも全北西海岸圏ジオパークのジオサイト).

Stop 1 韓半島南西部全羅北道扶安 (Buan) 郡格浦(Gyeokpo)海岸,下部白亜系格浦里(Gyeokpori)層の三角洲河川相と基底不整合

Stop 2 格浦港巨大露頭の三角洲舌状砂岩体と軟質変形構造

Stop 3 Jeokbyeongkgangぺぺライト 格浦里層に重なる扶安火山岩(流紋岩)類との境界に発達する熱変形構造

8月24日(火)

Stop 4 海南(Haenam)郡 牛頂里恐竜足跡化石産地および恐竜博物館.下部白亜系牛頂里(Uhanri)層の恐竜,翼竜,鳥類足跡化石層と保存施設展示および巨大恐竜博物館

Stop 5 固城(Goseong)郡床足岩(Sangjokam)海岸,下部白亜系慶尚(Gyeongsang)超層群河陽(Hayang)層群鎮東(Jindong)層の恐竜足跡化石産地

8月25日(水) 釜山市南部の釜山国家地質公園 松島半島(Songdo)ジオサイト&トレイル

Stop 6 松島海岸スカイウォーク,松島海岸ケーブルカー,白亜系火山砕屑岩多大浦(Dadaepo)層の礫岩,砂岩,赤色岩,恐竜卵殻層準,泥岩,デイサイト質凝灰岩,玄武岩質安山岩,流紋岩岩脈.

 

ポスト・シンポジウム地質巡検

シンポジウムの翌日の10月27日(金)に1日巡検として,済州島西部から南西〜中南部の5ヶ所を回る巡検がありました.済州島は第四紀の火山島としてよく知られており,2007年にユネスコの世界自然遺産に選ばれており,さらに2010年には世界ジオパークとして認められ,多くのジオサイトがあります.今回は以下の5つのジオサイトを見学して回りました.

Stop 1 水月峰(Suweolbong)凝灰岩・玄武岩溶岩(1.8万年前)

Stop 2 山房山(Sanbangsan)溶岩ドーム(80万年前)

Stop 3 中文・大浦(Jungmun Daepo)海岸柱状節理帯:玄武岩溶岩流(14-25万年前)

Stop 4 西帰浦天地淵(Cheonjiyeon)滝:西帰浦(Seogwipo)層と西帰浦玄武岩(Hawaiite)溶岩流(40万年前)境界

Stop 5 更新統西帰浦(Seogwipo)層の貝化石密集層

 

送別夕食会

最終日の10月27日(金)夜は送別夕食会が催され,韓国鍋に韓国ビール・焼酎が振る舞われ思い出深い韓国訪問を締めくくることができました.

 

送別夕食会


写真1 IGCP608第5回国際シンポジウム開会セッションでの記念撮影(10/26午前)  ページ先頭へ戻る


写真2 IGCP608第5回国際シンポジウム開会セッションでの挨拶用スライド(10/26午前)  ページ先頭へ戻る


写真3 IGCP608第5回国際シンポジウム開会セッションでの安藤の挨拶(10/26午前)  ページ先頭へ戻る


写真4 ポスターセッションでの増川玄哉(博士前期課程2年)発表の様子(10/26午後)  ページ先頭へ戻る


写真5 シンポジウム閉会セッションでの記念品授与_安藤が基調講演者として,平昌オリンピックマスコットを頂く(10/26午後)  ページ先頭へ戻る


写真6 大韓地質学会70周年記念祝賀会_増川着席のIGCP608円卓(10/26夕方)  ページ先頭へ戻る


写真7 シンポジウム前地質巡検前夜の歓迎会食会_仁川市内_左は巡検助手の江原大学のM1学生Kongさん(10/23夜).  ページ先頭へ戻る


写真8 Stop 2の格浦港巨大露頭の下部白亜系格浦(Gyeokpo)層の三角洲舌状砂岩体(10/23午後)  ページ先頭へ戻る


写真9 Stop 3の下部白亜系格浦(Gyeokpo)層の砂岩泥岩互層中における変形構造(10/23午後)  ページ先頭へ戻る


写真10 Stop 4 海南(Haenam)郡牛頂里の海南恐竜博物館前の恐竜卵殻のモニュメント(10/24午前).左はタイ鉱物資源局のNaramase氏,右はタイ・シリンドホーン博物館のオ・ヌマ氏.  ページ先頭へ戻る


写真11 Stop 6-1 釜山地質公園_多大浦(Dadaepo)層下部の礫岩層(10/25午前)  ページ先頭へ戻る


写真12 Stop 6-2 釜山地質公園_多大浦(Dadaepo)層上部の凝灰質斜交層理砂岩層(10/25午前)  ページ先頭へ戻る


写真13 済州島西帰浦市韓国式中華料理店での夕食会(10/25夜)  ページ先頭へ戻る


写真14 シンポジウム後地質巡検 Stop 1水月峰(Suweolbong)の柱状節理玄武岩溶岩の波食棚岩礁(10/27午前)  ページ先頭へ戻る


写真15 シンポジウム後地質巡検 Stop 1水月峰(Suweolbong)のWado島(10/27午前)  ページ先頭へ戻る

 

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