2012年6月4-19日:新聞各紙で北海道パシクル沼のカキ化石層の研究が紹介されました.

5月20日に行った日本地球惑星科学連合2012年大会での研究発表について,共同通信から取材を受け,地方新聞各紙の科学欄で紹介されました.

6月4日(月) 北海道新聞 6面

6月8日(金) 中国新聞 8面

6月18日(月) 静岡新聞 7面

6月19日(火) 福井新聞 17面

 

大津波年代 カキ貝殻で推定

 東日本大震災を機に,過去の地震や津波を調べる手掛かりとして津波堆積物が注目されている.よく知られているのは砂の層だが,近年は「カキの貝殻」や,巨大な石である「津波石」に着目した研究が進みつつある.年代が推定しやすいといった利点もあり,期待が高まっている.
 カキ貝殻の化石層に着目しているのは,茨城大の安藤寿男(あんどう・ひさお)教授(地質学).北海道の太平洋沿岸の白糠町で,湖の岸辺にある津波を受けたことを示すとみられる化石層を調べた.ポイントは貝殻の状態.貝殻が直立した層と,横倒しになった層が交互に積み重なっていた.  カキは本来、泥の底で直立して成長し,群れが株を作るはずだが,安藤教授は「陸側に向かって,一方向に倒れている」と指摘.大きな水の流れで倒されたと分析した.化石層のある場所は海岸から奥に入った干潟だったため,倒された原因は津波の可能性が高いと推定している.  炭素を利用した貝殻の年代測定で,地層は縄文時代早期に当たる約8,000~6,400年前と判明.積み重なった層の数から,津波が300~500年周期で来ていたのではないかと安藤教授は推測する.  安藤教授は「貝殻の層は,砂の層よりも見分けやすいことがある」と話す.このような貝殻の化石は茨城県の霞ケ浦湖岸など,他の地域でも異なる時代の地層から見つかっており「津波を受けた跡を残している,という発想で見直した方がいいかもしれない」と話す.

津波で倒されたとみられるカキの貝殻を含む層と,株のように自然に密集した層が交互に積み重なった地層=北海道白糠町

 

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